25日に世界初の商業運航を始めるシンガポール航空の「A380」(ロイター)
25日に世界初の商業運航を始めるシンガポール航空の「A380」(ロイター)
 
シンガポール航空「A380」のファースト・スイートに設けられたダブルベッド(AP)
 
 シンガポール航空が25日、欧州エアバスの超大型の最新鋭旅客機「A380」を世界で初めて商業飛行させるが、これを契機にアジア太平洋地域の航空各社で旅客機の豪華な装備やサービスを競う動きが強まっている。アジアの高い経済成長を背景に乗客の可処分所得が向上していることに加え、エコノミークラスでの安売り競争を避けて利益率を高める狙いがある。客室の高級装備品など関連市場も拡大するとみられている。(佐藤健二)

 ◆客単価引き上げ

 AP通信などによるとシンガポール航空は25日にシンガポール-豪州シドニー路線で世界初の商業運航を開始するA380の客室に、12のファーストクラス席、60のビジネスクラス席を設けている。ファーストクラスにはベッドのほか、23インチのフラットパネル画面、ビジネス用のデスクなどを備え、うち2つのスイート席には新婚旅行客などを想定し、ダブルベッドを装備した。

 A380はエコノミー席だけなら800席を装備できるが、同社の機体は豪華座席を多く備えたため、総座席数はわずか471と、2クラス設計のボーイング747(568席)を下回る。

 同社に続き、A380の導入を決定している豪州カンタス航空は、14のファーストクラス、72のビジネスクラス、32のプレミアム・エコノミークラスを設け、総座席数はシンガポール航空のA380よりさらに少ない450席だ。

 座席数を減らせば運べる乗客数は少なくなる一方で、運賃単価を引き上げられる利点がある。

 とくに原油高による航空燃料の高騰や格安航空会社との競争激化でエコノミークラスの利益率は大きく低下している。

 こうした経営環境の中で、快適さを売り物にする航空会社は、客室の高級化で利益率を確保する戦略を鮮明にしつつある。超大型旅客機A380の登場は、高級化路線をさらに加速させるとみられている。

 ◆関連市場も拡大

 シンガポール航空のA380の内装は、フランスのヨットデザイナー、ジャン・ジャック・コステ氏が設計。日本のジャムコ・グループなどが内装品を供給したが、高級化は関連業界の売り上げ増加にもつながる。

 米誌ビジネスウイーク(電子版)によると、ジャムコの米国子会社、米国ジャムコ(ワシントン州)のデビッド・ネルソン副社長は、「快適さを重視する(客室の)革新的なデザインは、デザイナーや内装品メーカーにもビジネスチャンスを与える」と指摘した。

 サービスに定評のある香港の航空会社、キャセイパシフィックも、香港-ロンドン路線を飛ぶボーイング747の内装設計を英ヨット設計会社に依頼。ファーストクラス客には、17インチ高精細テレビとともに香港の高級ブティック、「上海灘(シャンハイ・タン)」製パジャマや羽根布団を提供している。

 今後、各社の豪華旅客機では、圧搾空気を満たした快適な座席シートや、衛星を使った携帯電話サービス、機体が衝撃を受けた場合のエアバッグなど、快適、安全に空の旅を楽しめる装備が増えるとみられており、恩恵を受けるメーカーの裾野も広がりそうだ。

Posted by Takumi

2007/10/25 09:55 2007/10/25 09:55
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